抜粋復刻版


発団15周年を迎えて







日本ボーイスカウト神奈川連盟

横浜第82






温 故 知 新

 好奇心の強い貴殿により、このページを開けて下さいましたこと感謝いたします。ぜひ次のページから最後まで通読を期待いたします。そして、スカウトのために、野営場保護のために協力出来ることなどご検討下さい。

 当団はスカウト活動(教育)専用の「山」に集うことが出来ています。他団では不可能なことです。その根源は20年前本多家の深いご理解によるところ重かつ大であります。

 思えば20年の風雪が流れて来ました。会員のみな様は大きくメンバーが変って来ました。昔話しとして団15周年記念誌の中より、「中里野営場の開拓の風」を抜粋しました。再読いただき一人ひとり、協力出来ることを、奉仕体験をご検討下さい。

 そして、本多家に感謝とご協力を。例へば8月に「浜梨」のお買いあげを計画して下さることも相互理解の一歩でしょう。

平成14年4月7日  小林 兵衛



団発祥地貝塚から中里の森スカウトの故郷


◇中里の森へのめぐり合わせ◇

 我が82団の歩みは、設立から10年を経過して、急激な変化を示して来た。 年ごとに入団希望者が増加し、長年活用させていただいていた、勝岡 一男さん宅(元育成会長)内の団本部や、貝塚幼稚園東側の団広場の利用では、スカウト活動を続けることが困難な状況になって来ていた。
 56年度における、役員会の重要課題は、団本部や団の備品倉庫の適地を探し、57年3月末までに引っ越しを完了して、新年度からはスカウトが多人数になっても、集いがうまく楽しく進められるようにしよう。という目標を掲げて、春からその動きが始まった。
 基本構想は、この年の秋から市民に開放される新田地区センターの活用を前提とし、センターの近くに本部や備品倉庫を借用することが可能であれば、団広場、日本ゼオンKKの広場なども行動の範囲に入り、好都合と考えていた。
 適地探しは、人づてに四方八方手を打って、スカウト運動のことや、団の現状などについてお話しして糸口探しに努めた。 しかし、その可能性をつかめないまま、春から夏へとスカウトの訓練に追われ、月日は流れていった。
 9月のボーイ隊の隊集会は、残暑の厳しい団広場の炎天下において実施した。 この日のテーマは、前月終わったボーイ隊の10周年記念駒ヶ根高原、団キャンプの反省会が中心であった。
 スカウトは、1ヶ月前ファイヤーを囲んで団からもらった記念のネッカチーフを初めて着用して来たためか、奇抜なデザインとピンク色がなじめないためか、お互いにチーフに気持ちが引かれながらも、苦しかったこと、楽しかったことについての意見や2956mの駒ケ岳を初体験した時の感動など、発言は活発だった。
 そのなかで、次年度への希望は、備品の充実や、一泊訓練キャンプの回数を多くすることに期待が寄せられた。
 終了に近づいた頃、いつも仁王様のような顔をしている、本多 通さん(59年カブ・スカウト隊長)が、優しい目をして足早に入って来て、突然小声で話しかけて来た。
 「キャンプ場として使えそうな場所があるんですが・・・・・・。」

 「一度見に行きませんか・・・・・・。」
 この声は、キャンプを多く開きたい、という希望を受けた直後のことであり、私の脳裏を突風のごとく流れ、暑さを忘れ、好奇心から探究心へと心身は移っていった。
 「どこにあるんですか・・・・・・。」
と会話するやいなや、2人は自転車を蹴り、本多さんに続いた。

 その時は、遠い所だなあ。不便な所だなあ。と思いつつ、竹やぶや墓地を左右に見て急坂を昇っていった。本多さんは道路右側の畑に入り、東側の藪を指差していた。
 「そこです・・・・・・。」
 「駄目ですか・・・・・・。」
 「畑はブルトーザが入り、地形は少し変わります・・・・・・。」
と話してくれた。
 「えらい所だね・・・・・・。」
 「ジャングルだ・・・・・・。」
 「火をつかえますか・・・・・・。」
といった会話のやりとりで、その日は終わった、1〜2kmの距離をスカウトが荷物を共々持って来て、キャンプをすることの可能性はありそうだなあ、という程度に受け止めた。
 9月以降も、団本部の適地探しは続けられていた。 しかし、その可能性をつかむ糸口は暗中模索の状況であった。役員会の意見交換はため息と空論が多く、暗い気持ちの数ヶ月が続いた。
 地区センターはすでに完成し、役員が会議室を利用することが始まった。 公共物のため、一定時間内に会議を終了することが必要なこと、雨天の際急きょ利用させていただくことは、困難なことであることがわかって来た。 当初予想していたセンター中心のスカウト活動の構想は揺らいでいった。
 1月の役員会を開催したものの、当日の重要なテーマは始まる前から、全員頭の痛い移転先のことであることを知っており、スタートから沈黙とため息とであった。 追い詰められた気持ちの中から、本多 寛さんの山に備品倉庫を作らせていただき、移動することはどうだろうかという意見が出た。
 「バス停から遠いね・・・・・・。」
 「市街地調整区域だが・・・・・・。」
といった心配も2〜3出された。
 本多さんにはスカウト運動のことや、団の足跡のことなど一度もお話ししていない時のことであり、勝手なお願いを一方的に持ち込むことは失礼なことではないかという考えもあった。
 しかし、一方では次年度の入団者(ニューチャム)の紹介も終わり、活動が始まっていた。日曜日ごとに元気なスカウトが大勢集まって来る状況になってしまっており、引くに引けない絶壁に立たされてしまっていた。

◇道は開ける◇◇

  役員会はこの時、無理だなあ、勝手なことだなあ、と思っても他に糸口がつかめないため、本多 寛さん宅を訪問することとなり、とぼとぼと亀谷さん(団委員長)に続いて移動することとなった。
  亀谷さんは、恐る恐る山の中に備品小屋を置かせてほしいということについて、話し始めた。 役員は固ずをのみ、頭は前へ前へとのめり込んで、本多 寛さんからの返事を待った。 数秒のことだったが長い長い一時だった。
 「いいよ・・・・・・。」
 「どこにするかなあ・・・・・・。」という言葉が鼓膜にゴオーンと響いた。課題に取り組み始めて、10ヶ月間右往左往していたことが、一瞬にして、道は開けた。
 備品倉庫の規模も利用方法も一切質問することもなく、共々くどくどと経過を話し合うこともない時点で許可してくださった。 本多 寛さんの寛大な気持ちにはたいへん驚いてしまった。 本多 寛さんのあの時の気持ちは聞いていないし、また、聞くことではないと思う。 しかし、感謝の示し方は関係者の共通の課題である。 重い。
 苦しい月日の末、突発的に道は開け、スカウト活動の理想郷造りが急展開していった。 昭和57年1月10日は記念すべき日であり忘れてはならないことであろう。

◇スカウトハウスの誕生◇◇◇

 団運営はスカウトの使用する備品の充実におわれ、長年経済面において恵まれない状況にあった。 スカウトハウスの建設はスタートから夢であり、基本的には、物置小屋を借用出来れば最良のことと考えていたため、団の建物を造ることが可能になってみても予算もない、建物見積もわからないことであり、戸惑ってしまった。
 資金の必要なことが現実となり、建物の規模、備品の量の容積計算など頭の痛い問題が山積になった。 建物は、工事現場の作業事務所の中古品を譲り受けて利用することが提案された。
 建物については、いつもポーカフェイスの稲垣さん(59年カブ副長)に御願いすることになった。
 「何とかなりませんか・・・・・・。」
 「なるんじゃないですか・・・・・・。」
 「当たってくれますか・・・・・・。」
 「そうですね・・・・・・。」
といったやりとりの末に、すべてを押し付けてしまった。
 3月上旬、ジャングルに入ってみると、稲垣流打ち出の小槌は短期間でハウスを完成させ、スカウトの利用を待っているような状態にまで仕上っていた。 寒い季節にもかかわらず、役員の協力を求めることもなく、お一人ですべて手配されたことと思うが、その苦労話は一度も出ていない。
 資金面は、育成会員に特別の寄付をお願いし、多額の協力をいただき、建物の購入代金は辻つまを合わせることが出来た。
 57年3月に入り、引っ越し、野営場オープンへと具体的な作業が進んでいった。
 中古品のハウス完成後は、田中さん(59年副団委員長)の出番となり、室内や外壁・屋根は、次から次へと配色も良好なペンキ塗装が施され、スカウトハウスに生まれ変わってしまった。
 稲垣さんは3年ぐらい使えるでしょう、と語っていたが、毎年続いている保全により、いつも新品の状態になっている。
 3月下旬に入り、ジャングルは一変しスカウトの集うことの可能な広場が出来上がり、57年度の入隊式と建物の披露をすることが出来た。長い長い1年間だったが、目標を達成してみると、楽しい思い出の一時として終わった。
 広場はこの時「82団野営場」と命名され、ハウスは中里の地名をとり「中里ハウス」としてオープンした。 スカウト運動は自然の中にこそ最良の生きた教材がある。 野外の活動がスカウトの基本であるという、創設者ベーデンパウエル卿の言葉に近づく体験活動のスタートとなり、テープは切られた。

◇野営場造りの歩み◇◇◇◇

 オープン後の役員会では、スカウトの野営場らしくするには時間がかかることであり、ぼつぼつ開拓しましょう、3〜4年かかるでしょう。 ということが、共通の理解であった。 しかし、気持ちは早くスカウト活動の広場らしく整備したいことや、設備の充実など次から次へと夢は広がった。
 基本的な配置の設計は、ボーイスカウト日本連盟山中野営場の小型版を想像し、雑木林の中の班コーナーがうまく配置されていることや、同心門などの強い印象を思い出しつつ、班コーナーの整地や木々を植えて、森の復元が始まった。
 春3月のオープン記念に本多 寛さんが桜の木を植樹してくださった。
さらに、この年の初夏のある日曜日の午後、キイウイの若木4本を持って来て植え込んでくださった。
 このことが皮切りとなり、今の子供達は果物を味わい楽しむことが出きても、果樹の生長や花と果物の変化を観察することの機会がほとんどないことや、長い歴史を重ね人工的に造った(品種改良)果樹の木と自然の木との相違を知ることの少ない社会環境にあることなどに着目し、教材の一つになればと考え、班コーナーの間に果木(以下果樹の木を略して果木とする)を植え込むようになった。

 それは、本当の自然の中に入れない現代の欲張り人間の姿を投射しているところになってしまったかもしれない。

◇翔べ、スカウト、母なる大地 中里の森から◇◇◇◇◇

 3〜4年かけて、野営場らしく・・・・・・。といっても明確な設計図を持たないまま草を取り、若木を植え、スカウトコーナー造りの土地削り、また、門造りや入口の整備など試行錯誤を重ねた。 関係者の労働奉仕はもくもくと続き、野営場の完成に近づいていった。 訪問するたびに、いたる所が変化して充実していった。
 関係者のエネルギーは第2野営場の整備へと発展し、中里の森のジャングル地帯の面影はなくなってしまった。 その裏方は、いつも志村さん(59年育成会長)と北条さん(59年団委員)の黒子役があって進んで来たことである。
 オープン後2ヶ年で、野営場はスカウトの理想的な森に生まれ変わってしまった。 しかし、この環境を保っていくことも大変なことであるが、自然を守り、教材を充実していく保全作業の適切な手を打っていくことは、スカウト活動の一つのテーマでもあろう。
 右から左から関係者が持ち寄り植えた果木も、ほとんど定着し、成長が始まった。人間の成長と健康を保ってくれる果木とスカウトが春夏秋冬共々活動出来る環境は他に実例のない野営場造りとなってしまったことと思う。 しかし、スカウトが果木の成長、花、果物、害虫・・・などを観察し、感動してくれる情景を想像することが出来ることは、楽しいことだ。
 年月は流れ、団の20・25・30年の節々を中里の森で迎え、世界に旅立っていったスカウトと、果木の下に集い語り合う日が来ることを夢見ることが出来るだけでも大変幸せなことだ。
 15周年記念日に当たり、野営場に収集した30種90余本の果木を公開し、「15周年の記念樹」とする。

弥 栄     

(ボーイ隊長  小林 兵衛)


15周年の記念樹果木目録

No

科目

品名

種類と本数

1

バラ科

りんご

むつ

1

富士

1

ヒメりんご

1

3

2

もも

白鳳

1

水密等

1

-

-

2

3

あんず

新潟大実

1

-

-

-

-

1

4

さくらんぼ

ナポレオン

1

佐藤錦

1

-

-

2

5

ネクタリン

ネクタリン

1

-

-

-

-

1

6

すもも

ソルダム

1

- - -

-

1

7

ゆすら梅

赤実

1

-

-

-

-

1

8

白加賀

2

紅梅

1

-

-

3

9

木いちご

ブラックベリー

1

ラズベリー

1

インデアンサマー

2

4

10

びわ

茂木

1

- -

-

-

1

11

アーモンド

アーモンド

1

- -

-

-

1

12

プルーン

シュガープルーン

1

-

-

-

-

1

13

柿ノ木科

次郎

3

- -

-

-

3

14

ぐみ科

ぐみ

ぐみ

2

- -

-

-

2

15

ぶどう科

ぶどう

巨峰

1

キャンベル

1

デラウェアー

2

4

16

桑科

いちじく

ドーフィン

4

- -

-

-

4

17

くるみ科

くるみ

菓子ぐるみ

1

- - - -

1

18

ゆきのした科

すぐり

ピックスウェル

1

-

-

-

-

1

19

みかん科

みかん

温州

1

- - - -

1

20

夏みかん

夏みかん

1

-

- - -

1

21

すだち

徳島すだち

1

-

- - -

1

22

あけび科

むべ

むべ

1

- - - -

1

23

あけび

五っ葉あけび

1

三っ葉あけび

1

- -

2

24

ナス科

くこ

くこ

1

- - - -

1

25

またたび科

キィウィー

ヘイワード

4

- - - -

4

26

つつじ科

ブルーベリー

ウツタット

10

ラビトアイ

10

ホームベル

20

40

27

もくせい科

オリーブ

シツション

1

- - - -

1

28

フトモモ科

フェイジョア

トライアンフ

6

- - - -

6

29

グアバ

ストロベリグァバ

1

- - - -

1

30

-

ヘーゼルナッツ

ヘーゼルナッツ

1

- - - -

1

 

96